母さん助けて日記

母さん助けて詐欺のない世界を祈りながら綴る日記+α

20140929

最近腰が痛いのは、新しく買った靴が足に合っていないからかもしれない。

 

年々、店で服や靴を買うのが苦手になり、最近は身に付けるものは、もっぱらネット通販で買っている。たいていの既成服はS・M・Lとおおざっぱなサイズでつくられているし、標準的な体型の自分はMを買っておけば大きな失敗をすることはない。微妙なフィット感の違いが見え方を大きく左右するような、繊細なつくりの服を求めないようにしているのもある。

 

しかし靴に関してはそうはいかず、わたしはこの半年の間で、ネットで買った靴を3度も返品した。3度とも、まるで足が入らなかったのだ。最近買って履いている靴も、一応入るには入ったがどうにも窮屈で、ストレッチに出して何とか履いている。正しいサイズを買っているはずなのになぜだろうと、ずっと不思議でならなかった。

 

最近になって、靴には23㎝とか23.5㎝といった縦のサイズはまた別に、足の横幅に関する「ワイズ」という基準があることを、恥ずかしながらようやく知った。

ネットで探した基準表を見ながら、家にあったメジャーで測ったところ、わたしの足のワイズはAからEEEまである内のEという、比較的広めのものであることが分かった。縦のサイズが22.5㎝と23㎝の間くらいであることを考えると、縦に対して横がやや広い足をしているようだ。

 

ワイズを知ってから自分の足を見ると、確かに前方にずんぐりとした存在感があり、それがかかとへ向けて拍子抜けするくらいすぼまった、妙なすがたをしていた。それまで足は足だと思っていたから、人の体というのはこんなところまで一人一人違った厄介なつくりになっているということに、うんざりしつつも少し感動したりした。

 

そうして自分の足を見ていたらふいに、小学3年か4年の夏休みに祖父母の家のソファで寝転がっている時、近付いてきた祖父に突然足をつかまれ、「とう子は足が大きいな、きっとこれから背が伸びるな」と言われたことがあったのを思い出した。

当時のわたしは背の順で先頭以外に立ったことがないほど小柄だったので、祖父の言葉はにわかには信じがたかったが、おじいちゃんがそう言うなら、と少し希望を抱いたのも覚えている。いつも声が大きく堂々としてちょっと不遜で、威厳というには少し荒々しいが不快でない、妙な圧を持った人だった。田舎によくいるタイプのおじいちゃんだったとも言える。

祖父の言葉の後、ほどなくして成長期を迎えたわたしは祖父の先見の明に感激したのもつかの間、身長の伸びはあっけないほどすぐ止まり、今では大きくも小さくもない、普通の体つきになった。

 

今、足を見ていると、祖父がこの前方のずんぐり部分に、何かのエネルギーのたまりのようなものを感じたのも、分からなくはない気がしてくる。あるいは全然そんなことはなくて、単にこの足のあまりの不恰好さに、何かでまかせの慰めを言ってやりたくなったのかもしれない。祖父が死んでしまった今では確かめようはない。

 

窮屈な靴で、重だるい足腰をひきずりだらだらと駅の改札を通って地上に上がると、木のにおいが鼻をかすめた。においをたどると、工事現場に整然と積まれた木材に行きついた。ぱかぱかと規則的に光っては消える毒々しいほど赤い照明に目を細めながら、これから何になるのか分からないその木材をしばらくぼんやり眺めて、家へ帰った。